熱中症とは、体温の上昇によって体内の水分や塩分が低下し、体内のこもった熱により、脳への血流も不足してしまい、身体のさまざまな機能が低下してしまう状態です。発見と手当が早ければ軽症で済みますが、重症化すると、頭痛や嘔吐、めまい、だるさ等を発症したり、さらに意識障害を引き起こす事があります。毎年、熱中症による死亡者数は急増しています。そのうち、65歳以上の方の割合は8割となり、高齢者が大半を占めています。体温調節機能が低下している高齢者は屋外はもとより、屋内でも注意が必要です。熱中症は応急処置の速さも大切ですが、やはり予防が最も重要です。
漢方における熱中症の対策は、水分が不足しがちな体内に潤いを与え、余分な熱を取り去るというもの。水と熱のバランスが整えば、おのずと「気」の量も増していきます。また、暑いからといって冷たい飲食ばかり摂ったり、必要以上に冷房下で過ごすと胃腸が冷え、身体のバランスが崩れ、疲れ、めまい、食欲不振などの夏バテ症状を起こしやすくします。
白虎加人参湯
びゃっこかにんじんとう |
口渇があり、熱感が激しく体液が消耗しているもの。 |
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猪苓湯
ちょれいとう |
口渇があり、排尿痛あるいは排尿困難があるもの。 |
六君子湯
りっくんしとう |
貧血、冷え性で、胃部に圧重感があり、軟便ぎみで疲れやすいもの。 |
黄連解毒湯
おうれんげどくとう |
顔が赤ら顔(顔面紅潮)、のぼせ、眼が充血、興奮状態、血圧も高めなどがある場合。 |
香蘇散
こうそさん |
神経質で、頭痛がして気分がすぐれないもの。食欲不振を訴えるもの。 |
半夏瀉心湯
はんげしゃしんとう |
胃部がつかえ、悪心、嘔吐、食欲不振があり、下痢ぎみのもの。 |
五苓散
ごれいさん |
のどが渇いて、尿量が少なく、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみがあるもの。 |